JP2019

「水性フレキソ促進協議会」記者会見をJP2019会場で開催

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環境負荷の低減を目指し
各種ベンダーを協賛企業に求め
重なる技術に積極挑戦

6月中旬に正式な設立総会を開き、オフセット印刷企業が展開する水性フレキソ印刷への取り組み概要を決定する全国5社交流グループは、5月31日、西日本最大の展示会「JP2019・ICTと印刷展」に協賛して、午後4時から事前記者会見を開き、これまでの経緯と新体制活動などを披露した。

同時に、環境負荷の低減や大量高速印刷を軸に紙媒体からフィルム媒体に市場を移す初の試みに、基材・資材メーカー、ベンダーが協力するテーブルトップ展示にも出展して、水性グラビア、小ロット軟包装印刷企業を含めた多くの企業に、今後の活動内容が注目されることになった。事前に各社で協議を行い、代表者には佐川印刷株式会社 木下寧久氏(代表取締役 )に就任の承認を得て当日の事前記者会見に臨んでいる。

どうして日本ではフレキソのマーケットが定着しないのか。話題が高まっては消えていく。フレキソ印刷をぜひ日本に定着させたい。

その思いから始まった導入5社グループの交流会は、時には同じ絵柄で版を替えて、それぞれの企業で印刷をしてみるなど、何が難しいのか、何が共通しているのか、何が違うのか、その手がかりを探しながらお互いの信頼関係を築いてきた。今年2月に株式会社光邦が新座工場に計画どおり2台のCI機を設置し、それを待った形で5社のラインアップは完成した。

今までの情報交流会から「水性フレキソ促進協議会」に変更をして、新たな体制でマーケットに個々の企業と共同事業でアピールしていくことになる。

【設立経緯】交流会13年の歴史を追う

13年の歴史を語る浅野健氏

交流会を主導してきた株式会社金羊社 浅野健氏(代表取締役会長)は、現在の状況と新体制に掛ける思いを次のように述べている。

「発注先のブランドオーナーからすれば、まだ機械が少なく、1カ所しか工場がないことなど発注リスクがぬぐえない。セキ様は愛媛県、佐川様は京都府、光邦様は埼玉県、手前どもは栃木の宇都宮、小松様は山形の酒田、北海道と九州を除きますと、一応、生産拠点を確保することができている。

技術的でも各社がそれぞれ役割を持ってグローバルブランド、またはナショナルブランドのお仕事を受注できるようにするために、いくつか高いハードルを乗り越えている。チャレンジしながら、新しいクライアントの指名に応えている。今後はさらに、指名されて良かったと心から思ってもらえる状況にしていきたい」としている。

大阪コムテックスの故渡辺会長から「これからの環境を考えたときに水性インキによるフレキソ印刷は欠かせない」としたアドバイスに、今からもう13年前、2006年に社内で非公式にフレキソ勉強会を始めている。その2年後、太陽機械工業の7色のUVフレキソ印刷機を導入して技術検討を開始した。浅野健会長はオフセット印刷企業の水性フレキソ印刷への13年の経緯を次のように語った。

事前の勉強をしませんか?

「それから5年、2013年に初めてCIフレキソ印刷機、チェコ・ソーマ社の8色機を導入しました。導入場所は、グラビアコンバーターのトーホー加工さんの倉庫をお借りして中にクリーンルームを作り、そこに導入しました。トーホー加工さんが同じソーマのCI機を導入され、その間に金沢に本社のある丸福さんの三好工場で1年間、勉強させていただいたり、その後トーホー加工さんでグラビアの勉強をさせていただきお世話になりました。一緒にやろうというお声がけで小山に最初の機械を導入したという状況でございます。賃貸契約をして廣済堂の宇都宮工場に現在CI機を4台置いています。佐川さんと2015年に初めて2社で情報交流会を持たせていただいたのが、このコンソーシアム協議会の始まりだったと思います。その後、小松写真印刷さん、セキ株式会社さん、光邦さんが名乗りを上げてくれました。よろしければ私どもで事前のスタディーをしませんか。そんなお声がけをさせていただいたことを今でも記憶しています」

【新会長挨拶】総会に先立ち志を示す

長い歴史を経て、いよいよ本格活動を行う5社連携の「水性フレキソ促進協議会」を誕生させた経緯を踏まえて、新会長に就任する水性フレキソ促進協議会理事長・木下寧久氏は意気込みを次のように説明した。

ともにつくる共創も重要

新会長の木下寧久社長

「この協議会は、オフセット印刷中心の印刷産業界においては異分野であった軟包装事業に進出した5社を中心に、基材・資材メーカー、ベンダーの皆様にご協力、ご理解をいただき、水性インキによる環境負荷の低減に貢献すべく設立する会になります。

フレキソ印刷は欧米においては軟包装分野で高い占有率を示しています。わが国では普及が著しく低い状態です。私たちは、今後の環境規制の強化も含め、水性インキによるフレキソ印刷の普及に努力してまいります。

昨今、印刷機械はもとより、インキ、版材の進化も著しく、高品質での生産が可能になったフレキソ印刷ですが、さらなる改善・進化が求められていることも事実です。このような、各社で共通する問題や課題に対しては、1社ごとの努力は当然ですが、協議会活動を通じて解決・改善を促進させ、市場での信頼を強固なものにする必要を感じています。

これまでにもフレキソ印刷は、その可能性が注目され、話題を提供してきました。今回は、話題の提供だけにとどまらず、市場における評価を確実なものにしなければならないと考えています。競争は成長の要因であることは事実ですが、ともにつくる共創も重要と考えています。分科会活動では具体的なテーマに対して議論し、具体的な成果を導き出したい。6月中には設立総会、第1回理事会の開催を予定しています」

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