オフから軟包装市場に乗り出す水性フレキソ促進協議会
5月31日、第44回目の開催となる「JP2019・ICTと印刷展」が、再度インテックス大阪会場に戻り、印刷活性化を目指す心意気を示す「市場と向き合う印刷の未来力」を同日夕方からハイアットリージェンシーで行われた。
印刷の未来力を示すオフから軟包装市場に乗り出す水性フレキソ促進協議会の発足表明を打ち出し、日印産連から杉村亥一郎専務理事、SCREENホールディング石田明名誉会長、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ吉田整名誉会長を来賓として迎え、北海道から近畿地区業者145社が参加し、大阪らしい「おもしろ懇親会」の会話を提供した。
コミュニケーションの場に
挨拶冒頭で、旭日双光章を授与した南貴夫氏の栄誉を紹介したJP展主催・西井幾雄会長は趣旨を次のように語った。
「今回はインテックスで開催させてもらいました。出展社は昨年よりは20社、コマで40が多くなるなど、増加の傾向をもたらしました。これも皆様のおかげだと思って感謝を申し上げます。
印刷用紙が1月から、多少の差はあるかもしれませんが、20%ほど値上がりしています。われわれの業界も紙離れが生じ、厳しい段階になっている。吸収するのは難しいのではないかと思っています。何とか20%程でお客さんにお願いすることが、われわれにとって必要な手段ではないかと思うと同時に、一つの変動が起こっているのではないかと感じています。
印刷業界は業界としての知恵を出し、お客さまとのコミュニケーションをすることが大切と感じています。この会も広い意味でコミュニケーションになると思っています。有意義な時間とすることを祈願して、私の挨拶に代えさせていただきます」
大阪から新たなビジネスが生まれることを
一般社団法人日本印刷産業連合会 杉村亥一郎 専務理事
印刷産業が自ら需要創出を手掛けていくことは大変重要だと思います。今回のテーマは的を射た大変素晴らしいテーマだと思っています。
先週ロンドンで行われた世界印刷会議に出席して、ヨーロッパ各国の印刷連合会のメンバーの話を聞いていると、印刷産業は大変厳しい経営環境にあるとのことでした。日本と同様ですが、デジタルメディアが伸長し、印刷需要が減少する。また、紙の値上がり、資材の高騰によって利益を圧迫している。ヨーロッパの印刷産業も、経営改革、あるいは事業の改革が求められているのかと思った次第です。
JP展の会場を観ますと新しい展示が多く出品され、新しい印刷機器や印刷企業が行う販促活動の技術、水性フレキソ印刷、あるいはAR・VRが出展されています。多くの方が熱心に展示物をご覧になっていましたが、JPを契機に大阪から新しい印刷のビジネスが生まれると信じております。
日頃から私どもは、微力ながら印刷産業の持続的な発展のために各種事業を行っております。その一つが「印刷と私」エッセイ・作文コンテストです。一般の方にも印刷に関心を持っていただこうと、一般の方に印刷にまつわるエッセイと作文を書いて応募してもらい、それを私どもで表彰しています。
昨年は707の作文が集まりました。脚本家で、くまモンの生みの親、小山薫堂さんに審査委員長をお願いして23の作品を選ばせていただきました。皆様の人生や暮らしの中で、大切な出来事と印刷がかかわる素晴らしい話が書かれていました。その作品を冊子にしてJP展の事務局のご厚意で、この冊子をJP展の会場でお配りいただけるとお聞きしています。今年も公募していますので、ご興味があれば、ぜひ応募していただければと思います。
今回、JP展でご一緒する機会をいただけたこと、うれしく思っています。これからは皆様とより連携を深めて、より印刷産業の発展に資する活動がしっかりできるよう、努力してまいりたいと思っています。
「印刷の火」を語る
来賓挨拶
株式会社SCREENホールディング 石田明 名誉会長
44回目のJP2019、大変盛況だと感じました。あの会場の雰囲気を見る限り、元気をもらったような感じがします。ただ、先々の不透明感はあります。紙の問題も耳に入ってきます。
京都と滋賀県の県境に比叡山があります。その上に1200年前に最澄上人が建立しました延暦寺があります。お寺が建立された1200年前にともされたろうそくは、消えたことのない「不滅の法灯」といわれております。お坊さんにお聞きすると、1200年の間、その時代のお坊さんが毎日、決まった時間に油をつぎ足す。時間がずれたり、油の量が少なかったりすると消えてしまう。油断をするなという言い方をしますが、油を絶つと火が消えてしまいます。油断大敵はそこから来たと聞きました。
産業全体で不透明感が増してきておりますが、印刷産業は一つ一つ、決まった時間に決まった仕事をすることによって火を消さない。印刷の火が消えない。言い方はおかしいですが、その努力をしていかねばならないと、あらためて思いました。
JP2019、このイベントに参加して元気をいただきました。メーカーもベンダーも力いっぱい、皆さんとともに前に向かって進んでいきたい。ありがとうございました。
「人手不足」への対応を願う
来賓挨拶
富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ 吉田整 名誉会長
令和になりまして最初の大型の展示会「JP2019・ICTと印刷展」の開催、誠におめでとうございます。新しい令和になって初めての展示会で大変期待をしていました。各メーカーからITを搭載した機械や、クライアントに対する新しい提案などが数多く出されたと聞いています。
日本は製造が基本的な国家でありますが、残念ながら、人手不足は否めないと思います。そういった中で各メーカーのソフトや機械を使って皆様方の会社が発展されることを心から切に願っています。また、新しい印刷、新規分野ということで発表があったと思います。私どもも海外の視点や製造元、あるいは、いろんな情報源がありますので、情報を取りながら、役に立つ会社になっていきたいと考えています。
「水性フレキソ促進協議会」発足を祝う
水性フレキソへの道を牽引してきた金羊社・浅野健氏は、「JP展をこれからも発展・継続させていくことが西日本の印刷産業に光をあてる象徴にしていく、というお考えを井戸会長からお聞かせいただきながら、何度となく足を運ばせていただいて、私にお手伝いできることがあればということで、参加させていただいてまいりました」と挨拶。
水性フレキソ促進協議会の会長として登壇を予定された佐川印刷・木下寧久社長に変わって、佐川印刷の宇山明彦専務が急遽登壇して「急用で帰らなければいけなくなり、大変申し訳ございません。あいさつをする予定でしたが、重ね重ね申し訳ございません。5社で頑張りますが、メーカーさんも、これから賛助会員を募りますので、会費を出して盛り上げていただけるとありがたいと思っています」と語った。
乾杯の音頭をとる井戸幹夫氏
乾杯の音頭は株式会社フジプラス・井戸幹雄会長から「水性フレキソ促進協議会の発足おめでとうございます。会の発足を祝い、乾杯の音頭を取らせていただきます」と杯を高らかに上げた。