JP2024

「JP2024・印刷DX展」の歩き方

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JP2024・印刷DX展の歩き方

寄稿:宮本泰夫氏(株式会社バリューマシーンインターナショナル取締役副社長)

印刷産業が生み出すDXの形を表現

来る5月16日(木)・17日(金)にインテックス大阪5号館において、「印刷産業からの新しい提案~豊かな社会の実現に向けて~」をメインテーマとして、「JP2024・印刷DX展」が開催される。

本展示会は、デジタル化の流れを受けて、4年前から「DX展」の名称で実施されており、これまで、印刷業界におけるデジタル化や自動化・省人化を実現するシステム、印刷会社による商材やビジネスの高付加価値化などが紹介されてきた。

皆さんもご存じの通り、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用により、さまざまな変革や新たなビジネスを創出しながら、社会や生活の形、スタイルを変えることで豊かな社会の実現につなげていくことを目指すものであり、印刷産業によるDXがもたらす豊かさには、社会に向けたものと、印刷産業に関わる多くの従業員に向けたものとがある。

JP展は印刷機材展でありながら、メーカー・ベンダーの展示だけでなく、数多くの印刷会社が出展することが大きな特徴となっている。

そのため、生活に密着した産業である印刷産業が生み出すDXの形を表現する場として大きな意味を持つものと考えられる。

ここでは「JP2024・印刷DX展」の歩き方と題し、4つの切り口から本展示会の見どころを紹介する。是非会場にも足を運んでいただき、印刷産業によるDXのひとつの形をご覧いただきたい。

JP2024印刷DX展の歩き方1

印刷関連技術の自動化・省人化

近年、急速に進む印刷関連技術のデジタル化の流れの中では、印刷や加工などの工程ごとのデジタル処理のみならず、データ入稿から印刷・加工を経て出荷まで、印刷ビジネスにおける一連のプロセスやワークフローの自動化のフェーズに移行している。

こうした新たな技術の中では、AI(人工知能)やIoT、クラウド技術なども積極的に活用してシステム化が進められており、また検査装置の実用化により、オペレーションプロセスの自動化から省人化にもつながっている。市場から求められてきた、小ロット、多品種化を実現しながら、製造現場の負担軽減や働き方の向上を目指すというDXの本質的な側面を是非見ていただきたい。

製造プロセスの自動化においては、さまざまなメーカーの印刷機・加工機をクラウド環境で連携させるホリゾンのiCE LINK、既存システムとワークフローをつなぎ、工程間の自動化を進めるミドルウェアとなるSCREEN GP ジャパンのデジタルコンテンツファクトリーE2E、オフセット印刷を核としたワークフロー制御を行う、小森コーポレーションのKP-Connect Proなどが注目される。

デジタル印刷システムにおいては、各社とも新機種、フラッグシップモデルの紹介や実機展示が予定されている。キヤノンのインクジェット枚葉デジタル印刷機VarioPRINT iX1700、京セラドキュメントソリューションズジャパンのTASKalpfa Pro 55000cは関西で初めての紹介となり、富士フイルムグラフィックソリューションのRevoriaPress PC1120、コニカミノルタジャパンのAccurioPress C84hcなど特徴あるデジタル印刷機が並ぶ。

また、コニカミノルタでは、来場者の「やってみたい」を形にするというコンセプトを掲げており、出展方法にも期待が持たれる。

検査装置の分野では、木田鉄工所、キヤノン、コニカミノルタ、シリウスビジョン、ダックエンジニアリング、富士フイルムなど、多くのメーカーから、インライン型やスタンドアロン型のシステムが展示、紹介される予定である。

特にシリウスビジョンのスマートシリーズのひとつであるSmacoは、検査対象物のある場所に検査装置を持っていくという、新しい発想で開発されたコンパクトな検査装置となっている。
また、クラウド環境で動作する、オンデオマのバリアブルデータ出力システムや、大創のパッケージ設計定型システムなども興味深い出展となっている。

JP2024印刷DX展の歩き方2

特殊技術による印刷物の高付加価値化

印刷産業の市場規模は年々縮小を続けている。製造業としての印刷産業においては、製造技術の成熟化に伴い、コストダウンだけでなく、印刷物としての高付加価値化を進めていくことが重要である。

印刷技術や加工技術、さらには素材などにおいても、特殊技術を採り入れることで、社会から求められる印刷物でありながら、顧客や市場から期待される効果を生む印刷物を提供していくことが求められているものといえる。

印刷技術においては、オフセット印刷における水なし印刷技術や、デジタル印刷技術の活用、加工技術では、加飾加工や特殊製袋加工、さらに素材分野では紙以外の素材への印刷技術の応用が期待されている。

JP展においては、メーカー・ベンダーだけでなく、出展する多くの印刷会社より、さまざまな特殊技術や特殊素材への印刷商材が紹介されることから、これまでにない興味深い印刷商材を展示会場で是非探していただきたい。

オフセット印刷分野では、サンアート印刷が水なし印刷の有効性を紹介する。環境対応という側面だけでなく、印刷機の準備時間を短縮することができるため、小ロットへの対応を可能としながら、加工までの一貫生産を実現することで一般的な短納期と比較しても短い納期で商品を提供できる体制を整えている。

小森コーポレーションでは、プロセス4色にグリーン、オレンジを加えた6色印刷による高色域表現により、色替えをせずに複数の特色を再現するスマートカラーを紹介する。

また、デジタル印刷分野では、コニカミノルタが高彩度(ハイクロマ)トナーを搭載したデジタル印刷機による、高色域印刷を紹介する。

特殊加工分野では、交友印刷からおなじみの削りカスが出ないエコスクラッチが紹介され、鬼頭印刷がコールドフォイル、スポットホログラム、疑似エンボス、3Dレンズシート印刷などの特殊技術を利用することで、これまでにはない質感を持つ印刷表現を紹介する。

デジタル印刷分野では、コニカミノルタがオンデマンド箔加工システムAccurioShineを紹介、富士フイルムではRevoria Pressの特殊トナーによる圧着ソリューションや、セキュリティプリントなどのサンプルが紹介され、最新のデジタル印刷周辺技術の進展を見ることができる。

また、ヒサゴでは、同社のラミネート技術を応用し、さまざまな素材に印刷された用紙を、印刷後の加工処理により、小ロットでステッカー加工するシステムを紹介する。

特殊素材への印刷については、研美社がプラスチックカードにリサイクル素材を利用したPETマットやリサイクルPVC、ストーンペーパー、木製素材を利用可能とするとともに、その応用分野として、ICタグカードやURLカードなど、時代の流れに呼応した各種カードを紹介する。

また、タオルを主体とする繊維製品の輸入商社である重光商事は、インクジェットや昇華転写技術を利用したタオル素材への印刷を展示する。

JP2024印刷DX展の歩き方3

環境やオペレーターへの負荷低減への取り組み

現代社会において、環境対応、環境負荷低減は全ての産業の課題となっている。印刷産業においては、資材、印刷技術などに環境対応技術を利用するほか、リサイクルなど含めた社会環境への取り組みが進められている。

また、こうした環境対応分野はサステナブルという言葉で表現されることが多いが、サステナブルとは、一般的に持続可能という意味を表す用語である。

環境対応という社会環題に取り組むことが、より良い社会の実現につながるとともに、縮小を続ける印刷産業の持続可能性を高めるひとつの切り口になっていると見ることもできる。

大阪シーリング印刷では、環境負荷低減への取り組みとして、廃棄物や固形燃料などの燃焼時の蒸気をエネルギーとして再利用するバイオマスボイラーを工場に導入するとともに、環境面だけでなくオペレーターの健康への影響を抑制する有機溶剤不使用の接着剤の利用、剥離紙のリサイクルする仕組みを確立している。

材料面では、ペーパルが廃棄食材を原材料として配合したライスペーパーとして、発色を向上させた新ペーパーであるKome-kami浮世絵ホワイトを展示し、新たに脱炭素に貢献する紙としてZERO CO2 PAPER(ゼロCO2ペーパー)も出展する。

トラストは、カーボンニュートラルに取り組む卓上カレンダーメーカーであり、全商品にカーボンオフセットを付帯し、環境負荷を低減する製造技術を積極的に採り入れている。

また、オペレーターへの作業負担軽減面では、ウエノは欧州からの輸入商品を中心として、現場での無理な作業姿勢をなくし、楽な姿勢で効率を上げながら、重作業や腰痛などの身体的負担を軽減するツールを紹介し、工藤鉄工所はワンプで包まれた紙の束を重ねてセットするだけで、ワンプの三方を自動的にカットする、自動ワンプカッターWPC-24を出展する。

JP2024印刷DX展の歩き方4

産業全体で広く取り組むためのコミュニティ

印刷物の製造は複雑な処理を経て行われることから、資材関係、印刷、加工、梱包・物流などに関わるメーカー・ベンダーや、製造関連のパートナー企業など、数多くのプレイヤーが関わることになる。
DX化において、1社で取り組める内容には限界があり、関連するこうした複数の企業が協業して推し進めることは非常に重要なポイントとなる。

JP展においては、印刷関連の産業全体で取り組む、さまざまなコミュニティとその活動内容が報告されることから、是非とも注目をいただきたい内容である。

印刷会社3社とメーカー・ベンダー5社で構成される印刷革新会は、昨年に続く出展となり、データ入稿から印刷・加工までの自動化デモンストレーションを行う。大きな投資をすることなく自動化や効率化を進めることで、印刷会社の従業員が心地よく業務に取り組める環境を作ることを目的としている。
リョービMHIグラフィックテクノロジーは、SDGs達成を目指す印刷会社をアシストする共創コンソーシアムとして、RMGT-CSPIを発足させた。印刷関連企業35社、異業種でも18社が加わり、印刷会社の課題をパートナーシップの強みを活かして解決していく取り組みを進めている。

大塚商会は、自社顧客となる印刷会社をネットワークしたPODパートナー会の会員企業の出展コーナーを設ける。さまざまな印刷関連業の得意分野が披露されており、ビジネスパートナーや販促関係のアプローチ先を探索する企業にとって有効な情報収集の場となっている。

また、キングコーポレーションは、繊維の廃棄物から紙を作り、循環型社会を目指すプロジェクトであるサーキュラーコットンファクトリーの活動に参加している。

サーキュラーコットンペーパーは、廃棄コットンを50%以上配合する環境対応紙であり、同社ではこれを利用したさまざまな紙製品を展開している。

JP2024印刷DX展の歩き方5
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